「なぜ?暁星って高校まで進学できるんじゃない!」叫んだ私の声は悲鳴に近かったと思う。受験さえなければ、小学生の間は遊び惚けているのが子どもの自然な姿、というのが私のおぼろげな認識だった。私立に行かせるのは、子どもを本来の「自然な姿」で遊び惚けさせたい親心からではないのか?「だって、大学受験はしなくちゃならないのよ。高校まで刺激もないから、ぼーっとしちゃうじゃない。中学にはバリバリに受験勉強をしてきた、やる気まんまんのお子さんがたくさん入学してくるの。そこで落ちこぼれてしまったら、いったいなんのために高い授業料を払って小学校から私立に行かせているんだか」。事もなげにYさんは言う。ダイガク……、大学ってまだ十年も先の話ではないか。いまから大学受験を考えて、家庭教師につけて、早朝学習していたら子どもだって身が持たないだろうに。「だから、スイミングと剣道でからだと根性を鍛えているのよ」遠足ならばともかく、「勉強しましょう」と誘って早起きができる根性ある子どもがこの世に存在することに、私はほとんど「衝撃」に近いものを感じたが、それ以上に、Yさんの「大学受験」にかける意欲のすさまじさに圧倒された。
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