小さな、小さなフェンディのバッグ。これは、『マドモアゼル』誌編集長からのクリスマスプレゼントで、口紅一本と鍵四本(五本は無理)を束ねたキーホルダーがやっと入るくらいの代物だ。その後、私は徐々に自分も周囲のみんなのようファッションアイテムであることに気づき始めた。全身をアニマループリントで飾り立てたり、デザイナーのロゴで包んだりすることこそないけれど、そんな私も、銀行で見かけた色粘土の彼女と同じように、ファッションにひれ伏すという罪を犯していたのだ。だけど、仕方ないじゃない?私たちが暮らしているのは、ファッション中毒の、そして、ファッションにさらされている社会なのだから。昔はエリート階級の特権だった「スタイル」は、今やどんどん大衆向けになっている。二〇〇〇年には、かつて高級ブランドだったモッシモと、(クールな消費者のKマート)的存在のターゲット社とが、三年間で1〇億ドル相当の独占委託販売契約を結んでいる。故キャリー・ドノヴァンと言えば、『ニューヨークータイムズ』紙のファッションエディターとして、ジョルジオーアルマーニやクリスチャンラクロワのような有名デザイナーだちと何十年も親交のあった人だが、その彼女も、オールドーネイビーのテレビのスポット広告に出演したおかげで「あの眼鏡をかけたご婦人」としての顔のほうが有名になってしまった。そして、今ではジゼーブンチェン(ファッションショー一回の出演料が三万ドルにも上る)といつスタジオ54かつてサブカルチャーの中心と呼ばれたニューヨークの有名ディスコ、独占委託販売契約高級ブランドがより幅広い販路を求めて、大衆的なブランドと提携契約をする傾向が増えている。日本でも二〇〇三年ファッションブランド「セオリー(『ユニクロ』のファーストリテーリング社との提携を発表し話題を呼んだ。)ジゼルブンチェンー九八一年ブラジル生まれのモデル。浅黒い肌に整った顔立ち、グラマラスなボディをあわせもち、今や「セクシーな美しさ」の代名詞的存在。グラビア撮影中のジゼルの美しさに目を奪われたトラック運転手が交通事故を起こした、というエピソードもあるほど。「レオナルドーディカプリオの恋人」としてもよく知られ、二〇〇四年には婚約宣言をした。