お客さん慣れしている彼らは「うちのK子がお世話になってます。遠慮しないでたくさん食べてたくさん飲んで泊まっていってくださいね」というノリなのだ。親切にして頂けるのはありかたいことだけれど、彼女の家に行くと必ず家族の誰かが同席していて(親戚や親戚の子供なんかがうじゃうじゃいる時もある)決して彼女と二人きりにはなれないのである。まあ私は同性だからいいが、つきあいの浅いボーイフレンドにこれをやったらちょっとびびると思う。話は違うけれど、子供のいる友人にあまり会いたくない理由のひとつにそれがある。私は友人にだけ会いたいのに、小さな子供のいる友達はいつも子供とセットでやって来る。私はその子とは友達だけれど、その子の家族とは友達ではないのである。たまにならいいが、いつもそうだと会うのが憂うつになってくるのだ。冷たい考え方かもしれないが、そう思うのだから仕方ない。で、Kの話に戻るが、思ったことを正直に言ったら彼女はあっさり「うん。びびられてる」と認めたのだ。つまり彼女はいつも、親しくなった男の子を早いうちに家族と引き合わせて自分の家族と打ち解けられるか試しているのだ。そして、びびるような男は最初から落第なのである。彼女は明るいし面白いし人なつっこいので、私が知っているかぎりでも過去何人か恋人がいたし、言うまでもなく見合いは二桁こなしている。でもいつも「またふられた」と言っていて、私は彼女の話を鵜呑みにしていたのだが、どうやらふられていたのではなく、こちらから「この男は婿には向かない」と切り捨てていたようなのだ。彼女に家を出る気はない。私が言わなくても、ずいぶんたくさんの人に「一人暮らしでもしてみたら」と暗に家を出ることを勧められている。そして実際、彼女は大学の四年間家を出て一人暮らしを体験しているのだ。それでかえって、家族のありがたみを実感してしまったという皮肉な結果になっている。