小動物と人間との間で共通情報が得られる

2012.02.06

大体、動物と人間との間の共通性は、オーダーが小さくなればなるほど密になります。人間とネズミとは似ても似つかぬ顔をしていますが、一皮むいて心臓や肝臓を取り出すと、大きさこそ違え、形は大変よく似ています。さらに心臓や肝臓の組織や細胞を顕微鏡で見たり、それらのホモジネート(摺り砕いたもの)を作って生化学的測定などを行うと、きわめて多くの共通点を見出すことができるでしょう。遺伝子の段階になると、他の動物種との間の組み換えさえもが可能になりますし、さらに進んでそれらの諸要素を構成している元素−水素とか酸素とか窒素とかの段階まで下りていくと、すべての動物の間で全く同じです。動物を利用しての医学研究は多くの場合、臓器レベル、組織レベル、細胞レベル、分子レベルで行われているわけですから、その限りにおいて、人間との間の多くの共通情報が得られるのは当然です。しかし医療とのかかわりにおいて問題となるのは、そのようにして得られたソフィスティケーティドな、つまり気のきいた情報が、丸ごとの人間の場合を再構成するのにどの程度役立つかということでありましょう。医療の対象は、あくまでも丸ごとの人間なのですから。とにかく、あまりに強い動物実験依存は、動物を見るのと同じような目で患者を見ているのではないか、という恐れを一部の人たちに与えかねないでしょう。