現役歯科医からのアドバイス

2011.04.12

親知らずは、ヒトの顎がもっと発達していたころの名残りで、現代人にとっては、いわばほとんど無用の長物である。しかも、完全にはえきらずに隠れていたりすると、不潔になりムシ歯の原因になる危険性があるから、これは機会をみて抜いてしまったほうがよいのである。また、外傷などで根まで割れてしまったという歯も、やはり抜いてしまったほうがいい場合が多い。ムシ歯の場合でいえば、う蝕症第四度で、歯冠がなくなったという状態であっても、根を残すことは可能な場合があるが、症状がそれ以上に進行していて、根のなかまで侵蝕されてしまっている場合は、抜く以外に方法はない。ただし、ムシ歯がこんな状態にまでなるには、最短みつもっても数年はかかるだろう。こう考えると、これまでの歯科治療では、かなり多くの場合、まだなんとか根だけは残せるだろうという段階で抜いていたということにもなるわけで、その意味では、わたしたち歯科医としても、あらためて深く考えなければならないことだということにもなる。もしかりに、歯科医が、歯はギリギリまで抜くものではないという態度に徹していれば、ほんとうに抜かなければならなかったという歯は、もっともっとすくなかったのではあるまいか。だから、できるだけ残して治療するのが、よい歯科医だということなのである。